誰でも気軽に、相談に来れる環境を。ベリテワークス株式会社・浅賀桃子さんインタビュー

※この記事は田端本のクラウドファンディング企画のリターンとして取材をさせて頂いたものを掲載しております。

もしも自宅の近くに、自分の悩みを気軽に相談できる相手がいたとしたら。

それは家族や友達でもいいし、行きつけの飲み屋の仲間でもいい。どんな人でも、心から本音を打ち明けられる人が側にいたら、どんなに心強いだろう。

新型コロナウイルスの影響で職場に行くことができず、一人で1日中パソコンと向き合い、ほんの少し寂しい気分になったり、保育園に子どもを預けられず、自宅で子どもと向き合う生活に少なからずストレスを感じたりした方も多いと思います。

そんなとき、やっぱり近くにいてほしいのは「話を聞いてくれる人」。そんなことを、改めて考えることがありました。

今回お話を伺ったのは、企業に勤める社員の悩みを聞き、解決へ向かうためのサポートを続ける、ベリテワークス株式会社の代表、浅賀桃子さん。本社は田端駅から徒歩7分程の場所にあるビルの中にあります。

浅賀さんは「スヌーピーカウンセリング」というユニークな手法で、多くの人々の心の声に寄り添ってきました。

そんな浅賀さんがどんな経緯でカウンセラーという道を歩んできたのか、スヌーピーカウンセリングとはどんな仕事なのかを聞いてみました。

第三者の立場から、心のSOSに向き合いたい

-実際にどんなお仕事内容なのかを、教えていただけますか

浅賀さん:私の会社では、主に「IT」と「カウンセリング」の2本の軸で事業を行っています。一見相反するように思われるかもしれませんが、元々私自身がITのコンサル会社にいた経験があったこともあり、その経験を生かしています。

ITの世界って、どうしても心が病んでしまう方が多いんですよね。

例えばIT業界には「客先常駐」といって、別の会社に常駐する形でシステム開発や運用などを引き受ける仕事がありますよね。そうした場合、エンジニアの方は自分の会社ではないところで働きながらも、規則や受けられる福利厚生などは常駐先の会社のものではない。実際に勤めている会社には月に1回ほど経費精算で訪れるくらいで、ほとんど自分の会社の社員の顔も名前も分からない、という状態になります。

すると「自分はどこの会社の人間なんだろう」ってだんだんと帰属意識が薄れてきて、ストレスを感じてしまうことが多くあります。

そうした企業の中に入り、人事などを通さずに「第三者の立場」でカウンセラーとして話を聞くことが私の仕事です。

ITの業界で人事として働いていた経験があるので分かるのですが、どうしても人事兼カウンセラーという立場だと、いろいろと勘繰られてしまうんです。「この悩みが、評価の対象になるんじゃないか」とか。そうすると気づいたら休職したり、退職したり、という方が多くなってしまいます。

会社の中からではなく、外の立場からこうした方々の悩みに寄り添って、もっと早い段階でSOSに気づけるようになりたい。そう考え、独立して現在に至ります。

仕事だけじゃない。生活の中で生まれる様々な悩みに答える

浅賀さん:幸い、人事の仕事の中で採用の業務も行っていたので、エンジニアの方がどのレベルのスキルがあるのか、どんな仕事ができるのか、ということは分かります。またWebサイトの簡単な作業もできるので、どういうことで技術者の方が悩むのか、ということも分かっているつもりです。あと、こういうお客さんがいたらちょっとイラっとくるよね、とかね(笑)。

ベリテワークス代表の、浅賀桃子さん

またITの世界だけに限らず、女性のキャリアに関する悩みもよくいただきますね。社内にロールモデルがいなくて、この先どうキャリアアップしていけばいいのか分からないとか、結婚や出産のタイミングとか……。

人間関係の悩みもありますね。上司との関係、同僚とのことなど。エンジニアのような技術職の方々の場合、同期と比較して自分はスキルが足りない、とかそういうことで悩んでしまう人も多いです。

実際に話を聞いた後は、私の方から誰が相談したかは分からない状態で、その企業に対して改善案を提示することもあります。就業規則の改善や、知られていない福利厚生のPRを促進する提案などですね。

社内で私のようなカウンセラーがいることを知ってもらい、気軽に相談をしていただけるようになるまでは、1.2年くらいは時間がかかります。

でもそうしてだんだんと口コミで広がっていって、会社や組織として変化が見られると「まだこの会社で頑張ってみようかな」と思えるようになり、結果的に離職率が下がったという声もいただいています。

親近感を持ち、気づきが得られる「スヌーピーカウンセリング」

-浅賀さんを事前に調べさせていただくと、アメリカの人気連載漫画「スヌーピー」を活用したカウンセリング方法を実践されている、という情報を目にしました。これはどのような手法なのでしょうか

浅賀さん:スヌーピーカウンセリングとは、事前に相談者に120個程度の質問に答えていただき、その結果をスヌーピーに出てくるキャラクターに当てはめて、その人の性格や傾向を診断する、というものです。さらに「あなたの悩み、こんな状態じゃない?」ということを分かりやすく伝えるために、漫画の中からヒントになりそうなコマを選んできて解説もします。

元は別の会社がつくった診断サービスではあるのですが、当社もこの手法を活用しても良いという認定先の一つとなっています。

母親が昔からスヌーピーが好きで、私自身も幼いころから、持っている小物のほとんどがスヌーピーでした。

そんなとき、自宅でとっていた英字新聞に掲載されていたスヌーピーの漫画と出会ったんです。難しい英語ではないから、自分の力で読んでみよう、と。スヌーピーの世界ってキャラクターもたくさんいるし、かわいいだけではないし、なんかただものではないぞ、と思いましたね。それから面白いと感じ、どんどんのめり込んでいきました。

大人になってから心理学の勉強をした際に知ったのですが、意外とスヌーピーの漫画の世界と心理学って親和性が高いんですよね。いろいろと人間の本質的なことに切り込んだり、何気ない日常の中に、悟りのようなメッセージが込められていたり……。

「カウンセラー」と聞くと、どうしても身構えちゃうじゃないですか。でもキャラクターを入り口に説明されたらきっと親近感がわくし、漫画を見ていると客観的に自分自身や物事のことを考えられるようになるんです。

この方法が一番自分に合っていると感じ、今も悩み相談をしてくださる人と話をする際に活用しています。

第二の故郷、田端に想うこと

元々お父様が田端の出身で、幼いころから田端を第二の故郷のように感じていたという浅賀さん。起業する際、ご実家が経営されている田端の花屋「浅賀生花店」を間借りして登記させてもらったことがきっかけで、この地にオフィスを構えることになりました。

-そんな浅賀さんの、田端の印象ってどんなものなのでしょう

浅賀さん:いい感じで人がいない、ですよね(笑)。でもそれがいいなぁ、と思っています。

相談に来てくださる人って、新宿のような、人が多く騒がしい街にずっといると、頭が痛くなってきたりするんですよね。わたしもそうなんですけれど。

田端は山手線も京浜東北線もあって、ちょっと歩けば地下鉄もある。交通の便がすごくいいわりに人が少ないので、暮らしやすいなぁと思います。

このオフィスからは、春になると近くの公園で咲く桜の花が見えて、とても気持ちがいいんですよ。

でも、オフィスに来てくださる方のほとんどが「田端って初めて降りた」と言います。もう少しだけ、田端の街がみんなに知られてもいいよな、とも思います。あんまり人が増えるのは嫌なんですけど(笑)。

北区でJRが通っている駅といってすぐに思い浮かぶのは田端・王子・赤羽あたりでしょうか。その中でも山手線と京浜東北線両方が通っているのは田端だけ。この便利さを知っているので、当面はここを出ないかなぁと思います。

-田端に住む、普通の人もカウンセリングに来ても良いものなのでしょうか

浅賀さん:もちろん。ふらっときてもいいんですよ。この通り、部屋の中にはスヌーピーの人形も山ほどありますので、お子様連れの方でも大丈夫。子どもがスヌーピーで遊んでいる間に、お母さんとお話をしてみる、などもいいですよね。

オフィスにはぬいぐるみ、本、アートなど、様々なところにスヌーピーがいました

ドキドキしながら電話をかけて、クリニックで緊張しながら待って……とかではなく、スヌーピーもいてちょっと明るい絵もある空間で、ふらっと来てお茶でも飲みながら世間話でもして。帰り道に「私の考え、ちょっと凝り固まってたかな」とか、そういう気づきを得て帰っていただく、とかでも十分なのかな、と思います。

カウンセリングって特別な人が受けるものではなくて、「ちょっと疲れたな」「ちょっと寄ってみようかな」というようなもので全然いいんです。

スヌーピーの世界の中にもね、ルーシーがレモネードを売るブースを作って、そこを精神科医のカウンセリング室に見立てて、5セントで相談に乗る、みたいなシーンがよく出てくるんですよ。で、チャーリーは常連客で、いつもそこへ行って相談をしている、みたいなシーン。

そんな感じで気軽に来てもらえたら、重症化しないで済む人がもっと増えるんじゃないかなって思うんですよね。私が目指しているのは、そんなお茶するような感覚で相談に来れる場所を作ることです。

ぜひ、田端の皆さんにも気軽に使ってもらえたらうれしいなぁと思います。

「カウンセリング」と聞くと、どうしても重い悩みを抱えた人が受ける、特別なサービスという気がしていました。でももし頼れる人が周りにおらず、一人ふさぎこんでいる人がいるのなら。

ここ、ベリテワークスの門を叩き、浅賀さんに話を聞いてもらうのもいいかもしれない。きっとスヌーピーと一緒に、優しい笑顔で迎えてくれるはずです。

※この記事は田端本のクラウドファンディング企画のリターンとして取材をさせて頂いたものを掲載しております。支援していただきありがとうございました。

会社名:ベリテワークス株式会社
電話番号:03-5842-1905
住所:東京都北区東田端2-5-14 クロコダイル第2ビル5F
アクセス:田端駅北口から徒歩7分程度

写真:櫻井寛己
文:櫻井朝子

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